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うちの娘は育てにくい

癇の強い子=いわゆる“育てにくい子”の育児日記

比べられない不安。比べてわかった事実。

育児 うちの子こんな子 回顧録
母娘でずっと家にこもりきりなのが良くないのかもしれないと思い、生後1ヶ月からベビーカーで散歩に行くようになった。近くのコンビニまで行って帰って30分くらい。
散歩中は泣いたり叫んだりしなかった。ぼんやりした視力だったろうけど、目をキョロキョロさせて興味深そうにしていた。私もいい息抜きになった。おやつや飲み物を買ったり、何より店員さんと簡単な会話をするだけで生き返る思いがした。私は「この子は外が好きなんだ」と、初めて娘が楽しめるものを見つけることができて嬉しかった。30分だった時間は1時間になり、時には2時間くらい歩き続け、午前と午後の2回出掛けることもあった。散歩中はふたりで穏やかな時間を過ごせた。

2ヶ月を迎えて予防接種を受けに行った。小児科までの道中はいつもの散歩と同じように大人しかった。ところが小児科に入った瞬間、娘はみるみる顔が引き攣り歪み、金切り声をあげて泣き叫んだ。まだ何もしていないのに明らかに怯えて泣いていた。注射される時には暴れて泣き入りひきつけを起こした。
それでも私にしてみれば家にいる時のいつもの娘の泣き方だし、病院で注射されるなんて大人でも嫌なものだから仕方ないと驚きはしなかった。でも、

「いつもこんな?」

という看護師の言葉で不安のスイッチが入ってしまった。

「…いつもこんな感じです」

と答えた。私はとにかく娘を褒めてなだめた。でもなかなか泣き止まない。まだロタウイルスの生ワクチンが残っている。私は焦った。

「すごいわね〜!それじゃ飲ませられないからちゃんと泣き止ませてね」

追い討ちをかけるように看護師が言った。今思えばその看護師は笑っていたし、たぶん「手が掛かって大変ね」という意味で出た言葉なんだと解釈できるけど、その時の私は「育て方が悪い」と言われているように感じてしまった。そんな時にふと周りを見れば、娘以外の子は大人しく抱かれ、注射を打たれて泣きはしてもすぐに泣き止んでいた。

産後すぐに娘が入院していたこともあり、同じくらいの月齢の子やお母さんたちと同席するのは実はこの日が初めてだった。それは望んでいたことだった。でもすぐに後悔した。他の子と比べるのは良くないと思いつつ、「なんでうちの子だけ…」と思ってしまったから。「赤ちゃんはみんな泣くし、お母さんはみんな大変」という色々な人からのアドバイスに「本当に他の赤ちゃんもお母さんも私たちと同じなの?」と疑問に思いながらも、比べる子がいなかったこれまでは何とか踏み止まっていた気がする。それがそうではないことを初めて目の当たりにして、漠然としていた不安は比べることでくっきり浮き彫りになった。「育てにくい…」と。

この日を境に娘の人見知りと場所見知りが始まった。それからはコンビニやスーパーでも大泣きするようになり、散歩も近所をぶらつくのが精一杯になった。そして私も家の中でも外でも娘がいつ泣くかビクビクするようになり、段々人と関わることを避けるようになっていった。